『英語独習法』が売れている。
土曜日の朝日新聞には「週間ベスト10」というジュンク堂書店が集計している週間売上のベスト10を発表しているコーナーがあり、見ると『英語独習法』(今井むつみ著、岩波新書)が第2位にあげられていた。
今日アマゾンでも見てみるとベストセラー1位になっていた(カテゴリ:外国語学習法・旅行会話集)。
以前の記事でこの本を買ったと書いたが、これは読み応えのあるとても有益な内容で、今までの英語学習本とは一線を画するものだった。
内容は決して読みやすくはなく、じっくり読んでいかないとなかなか頭に入ってこないところもあるが、不思議と飽きることなく、どんどん先を読み進めていきたい気持ちになる良質な内容だった。
買って絶対に損はしない本だと思う。
認知科学の専門である著者が科学的に見て第二言語を習得するための適切な手段を提示している。
人によって自分の英語レベルをどの程度まで高めるのかという目標は異なる。
日常会話ができればいいという人もいれば、ビジネスで使えるレベルまでを考えている人もいる。
この本は
「仕事の場でアウトプットできるレベル、すなわち自分の考えを的確・効果的に表現し、相手に伝えられるレベルの英語力を目指す人に向けて書かれている。」
と著者は述べている。(p.15)
この本で述べられている大切な概念が「スキーマ」。
英語のスキーマを理解して日本のスキーマとのズレを認識し修正していくことが英語上達に欠かせない。
そのための手段を本では詳しく解説してある。
ただそのスキーマを理解するためにかなりの勉強を要することが分かる。
冒頭でも著者は簡単に楽して英語を習得するのは無理と断じている。
効率的にかつ楽しく勉強する”楽習”が大切だと。
本を売るために「簡単に~」「ラクして~」「~だけすればいい」などのうたい文句で
英語アレルギーの人を引き寄せる陳腐な学習本が多い中、このような本が出されたことは本当にありがたい。
おすすめ。