寝そべり族
「仕事や結婚に消極的 物欲もない若者」
ちょっと前の朝日新聞に掲載されていた記事。
これは中国のお話である。
SNSで「タンピン族(寝そべり族)」と呼ばれる人びとの考えが中国で共感を呼んでいるが、中国共産党はこれに危機感を抱いている。
記事によると
「仕事や結婚、出産に積極的でなく、物欲が少ない若者たちを指す」
そうだ。
寝そべり族が生まれた背景には中国の激しい競争社会があると考えられている。
経済発展が急速に進み、日本の高度経済成長時代と一緒で、いい大学に行っていい会社に勤めることが勝ち組であるという思想が広がり、それに疲れた一部の若者が新たな思想を提案している状況である。
高学歴で一流と呼ばれる企業に入ることが人間的価値が高いのか、本当に成長し続けることが素晴らしいことなのか、豊かさとはなんなのか、自分らしく生きられないか。
こういった疑問を持つ人が中国でも増えてきたのだな。
何か一つの流れが進み始めると、それに反する考えを持つ人が出てくる。
その反する考えが一つの意見となり、一方向への流れが強くなりすぎている時流を適度に制止することができる。
なので対極の意見があることは大事だが、巨大な人口・経済市場をもつ中国にとっては寝そべり族の考えは脅威となる。
特に現代は情報社会となりSNSが発達して瞬時に情報が広まる。
一度情報が広まるとそれを無かったことにするのはできない。
なので中国メディアは寝そべり族を痛烈に批判している。
「寝そべり族は恥だ。」と。
寝そべり族が増えると労働力が低下し経済成長が停滞、また結婚・出産数が減ることで人口減少のおそれ。
その結果、大国としての中国をこれからも維持していくことは困難となってしまう。
日本はまだ小国で人口も経済規模も少ないけど、その10倍以上ある中国では自国に及ぼす影響被害が甚大だ。
先進国と言われている国は高度成長を経験し経済的に豊かな国にはなったが、人口減少・所得格差・人口減少・地方経済の疲弊など様々な社会問題が山積みになっている。
経済成長を前提とした社会は必ず行き詰まる。
自然の生き物は生物循環がうまく機能している場合、ある特定の種だけがどんどん増えていくことは本来起こらない。
人間は生物循環からはみだしてしまったから、抑えが効かずにここまで発展してきてしまった。
成長し続けると破滅に至る。
それが分かっていながら一度回りだした経済を止めることができない現代。
成長しなくても暮らしを維持できる暮らしを模索したい。