yoshinoraicho’s diary

30代の日々(吉野雷鳥日記)

”安全”な食べ物など無い

今日の新聞の下欄にある本の広告に、食の安全について書かれた新刊がのっていたが、うさんくさく思う。

 

高校や大学でちょっと化学を学んだ人にとっては食べ物の安全性なんて保障されないことくらい知っている。

 

私が大学生の頃、食品化学を専門にしている先生の一般教養の講義で、よく言われる食の安全性という言い方への疑問を先生が色々述べていたのを覚えている。

 

身体の外から取り入れるもの全て体外のものであるので、何かしらの良くない反応が起こるリスクは必ずある。

極端な例がアレルギー反応だ。

その人の中に入ると身体が強い拒絶反応を起こし、最悪の場合死に至る。

人によって反応が出たり出なかったり、また程度の大きさも違う。

その時の体調によっても反応の仕方が違うこともある。

 

常に生き物は体外のものを取り入れるときのリスクを抱えながら生きている。

で、そのリスクを軽減するために色々な食品をバランス良く食べることが大切だと言っていた。

いや、今まで〇〇を食べてきたけど何も身体に悪い変化は無いと言う人もあるかもしれないが、実は少しずつ良くない影響を与えていてそれが目に見えて現れていないだけかもしれない。

 

あと食品にこだわる人で多いのが自然由来信奉者。

工業的に作られたものでなく、自然から作られたものが身体に良いのだ!!と思い込んでいる人。

例えばビタミンC。

これは化学では”アスコルビン酸(L-アスコルビン酸)”と呼ばれている化学物質。

ただ呼び方が違うだけで同じ化学物質だ。

そう、つまりビタミンCも化学物質。

工業的に作ろうが自然から取り出したろうが、全く同じ化学物質なのだ。

 

いや!!自然からのおくりものだから”化学”なんて言葉は不適切だわ!!とかいうオーガニックな人がいたら、それはきちんと勉強せずに、なんの根拠もないフワフワしたイメージだけで生きていることを示しているようなもの。

 

オーガニックさんはなんでも自然のものが素晴らしいと強く激しく思い込んでいる。

「自然のものは身体に優しいのよ!!」とかね。

なんの根拠もないただの精神論。

 

言っておきたいのは、自然は何も人間のために存在しているわけではないということ。

自然のものが身体に良ければ、なんで一部の動植物は毒を持っているのか。

身体に良いとされる漢方だって飲み方を間違えると大変なことになる。

 

むしろ自然物の方がリスクが高い可能性がある。

"ビタミンCを取りたい"という目的であるなら純粋にアスコルビン酸粉末を飲んだほうが、果物などから取るよりも効率的だしリスクも低い。

なぜなら野菜や果物など自然物には無数の化学物質が含まれていて、全ての化学物質が解明されているわけではないからだ。

それらの中には、人間に悪影響を及ぼすかもしれないものが含まれている可能性がある。

 

身近な野菜だって生育環境によっては毒を生成する。

虫に食べられないために自己防衛のために毒を作ることがある。

食べられないための毒だから、人間にもいいものではない。

野菜だって別に人間に食べられるために育っているつもりはない。

自分たちの種以外は基本敵でしかない。

 

少しでもいいから食べ物について化学的に自分で勉強しないと、無知な人を狙って根拠のないうさんくさい情報や食品を売りつけて儲けようとする奴のいいカモになる。

 

特に自然食品信仰は日本で根強いので、普通のスーパーに売っているような食品の何倍もするものでも、「身体にいいですよ」「無添加ですよ」「お子様にも安全なものですよ」などと謳うと、結構売れてしまう。

その自然食品を高く買ったところで、身体へのリスクをどれだけ減らせるのか、それだけの価値があるのか、よ~く考えないとみすみす貴重なお金を捨ててしまう。

 

講義で先生は

「皆が思っているよりも人間は丈夫にできている」

と言っていた。